地熱エネルギーとは地球内部の熱源を活用した、再生可能エネルギーの1つです。火山周辺のマグマだまりをはじめとした、様々な地熱地帯を熱源としています。地熱の温度は5000度から6000度と言われており、この高温により地熱発電を行い、幅広い地域へ電力を供給することもできます。また農業や温泉の施設あるいは暖房設備などにも、温度の高低を使い分けながら、地熱エネルギーが関わっているケースもあります。
地熱エネルギーの特徴には色々ありますが、最も注目すべきなのが二酸化炭素を排出せずに、ほぼ永続的に再生可能という点です。これは石油や石炭とは大きく異る特徴と言えます。またいつでも安定してエネルギーを供給できる点も、見逃せない特徴です。特に火山列島でもある日本には、数多くの地熱地帯が点在しており、気候に左右されないことは、地熱エネルギーの大きなメリット。もちろん海外からのエネルギー輸入に頼る心配もありません。これまでの石油や石炭あるいは天然ガスをはじめ、同じ再生可能エネルギーである太陽光や風力とも異なる、魅力的なエネルギーと言えるでしょう。
地熱エネルギーで発電できるのは、地下の熱源に井戸を掘り、そこから吹き出る蒸気によって、発電機のタービンを回す仕組みがあるからです。吹き出た蒸気は大気中で冷え水になり、そのまま土へ還るだけ。その水はやがて熱源で沸騰し、再び蒸気として地上へ吹き上がります。まさに自然の循環をダイレクトに活かした、環境にやさしい再生可能エネルギーと言えるでしょう。
このような地熱エネルギーは、様々な実用シーンで見ることができます。例えば農業においては、地熱で発電した後の温水をビニールハウスへ取り入れ、トマトやキュウリといった季節モノの野菜であっても、年間を通じて安定して栽培と収穫を行っています。また暖房を使用する期間の長い寒冷地では、地中熱ヒートポンプを導入し、効率的でコストも抑えた暖房システムを実現しています。
ただし地熱エネルギーにも課題がないわけではありません。例えば地下資源を開発することになるため、太陽光や風力と比べて、初期投資が高くなる傾向があります。また掘り進めた地下から必ずしも、期待した通りの熱量を獲得できるとも限らず、開発リスクも高いと言えます。このようにコストもリスクも高くなれば、国家レベルの支援が不可欠になります。今後は地熱開発の技術的向上と、安定した地熱エネルギー普及のために、国への働きかけが重要な課題と言えるでしょう。