海洋エネルギーは名前の通り、海洋が持つエネルギー資源のことで、例えば海流や波の動き、潮汐に塩分といったものが当てはまります。また海水の温度差も海洋エネルギーの1つで、これらを使う再生可能な運動エネルギーを利用した発電を海洋発電といいます。再生可能な海洋エネルギーは6つの分類に分けられており、代表的なものに洋上風力発電や海洋温度差発電と波力発電があります。
更に、塩分濃度差発電と海流発電、潮流や潮汐力発電も存在します。使用方法はそれぞれですが、洋上風力発電は陸上と同じく、吹き流れる風で発電機を回して発電するものです。海洋は陸上よりも風が安定しているのと、設置できる場所が広大な点がメリットです。ただし送電ケーブルの敷設や塩害対策が必要なので、設置コストが課題となります。
海洋温度差発電は、海の表層と深層の温度差で発電する仕組みです。深海は太陽の光が届きにくく、5℃以下まで水温が下がるので、この温度差がエネルギー資源になります。発電の仕組みは、アンモニアなどの作動流体がポンプで蒸発器に送られ、表層の暖かい海水で蒸気に変化します。蒸気によりタービンが回ることで発電が起こり、今度は凝縮器に送られたアンモニアが、深海の冷たい水で冷やされます。この一連のサイクルが海洋温度差発電の基本的な仕組みで、化石燃料や原子力に頼らず電力を生み出すことができます。
波力発電は波の運動エネルギーを使用するものですが、使用方法はまだ実験や研究、開発段階に留まるので実用化は先です。塩分濃度差発電は浸透圧の違いを利用する海洋発電で、一方向に浸透する浸透圧の膜を使い、水圧を発生させて発電を行うのが特徴です。これは海洋が濃度の高い塩分で満ちていて、海洋が持つエネルギー資源が豊富にあるからできることです。地上にはない新しい可能性ですから、海洋エネルギーの6つの分類で、その内の重要な1つに位置づけられているのも頷けます。海流発電は潮流発電ともいい、海流による海水の運動エネルギーで水車を回し、電気に変えて使用する海洋エネルギーです。
海洋では常に海流が起こっていますから、これを活用しない手はないです。風力や太陽光と違って天候の影響を受けにくく、安定した発電が行えるものとして期待が集まります。潮流、潮汐力発電は潮流発電に似ていますが、海の干満差を利用する点が大きく異なります。広義には海流発電に含まれますが、潮位差でタービンを回すことから狭義には別物として扱われます。このように海洋が持つエネルギー資源は種類が多く膨大で、再生可能な運動エネルギーの宝庫なことから、主に6つの海洋発電が研究されているわけです。